くらしをよくする骨コラム

【医師監修】牛乳で身長が伸びる?気になる疑問を解説

「牛乳を飲むと背が伸びる」とよく言われますが、それは本当なのでしょうか?
本記事では、牛乳に含まれる栄養素やカルシウムの役割、成長期の身長との関係について、わかりやすく解説します。

 

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この記事の監修者:大井 美恵子(小児科・内科・皮膚科・アレルギー科)

経歴:
金沢医科大学卒業後、広島市立広島市民病院小児科医として経験を積み、2016年に姉と共に「女医によるファミリークリニック」を広島市で開業。小児科・内科・皮膚科・アレルギー科を診療し、家族全員の健康を支えるホームドクターを目指しています

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■所属学会・資格

 難病指定医

 キレーション認定医

 小児慢性特定疾患指定医

 子どもの心相談医

 高濃度ビタミンC点滴療法認定医新生児蘇生法専門コース認定医

 日本小児科学会

 日本周産期新生児医学会

 日本小児神経学会

 日本リウマチ学会

 抗加齢医学会

 高濃度ビタミンC点滴療法学会

 日本アレルギー学会

 日本小児皮膚科学会

 日本小児科医会

 広島県小児科医会

 赤ちゃん成育ネットワーク

 点滴療法研究会

■メディア露出実績

 TV広島テレビ

 TSSテレビ新広島

 広島ホームテレビ

 テレビ朝日(羽鳥慎一のモーニングショー)

 フジテレビ(Live News イット!)

 

牛乳と身長の関係

 

牛乳に含まれるカルシウムは、骨の成長に重要な役割を果たしています。成長期における適切な牛乳摂取が、身長の伸びに良い影響を与える可能性があります。

 

カルシウムと骨の成長

カルシウムは骨の主要な構成要素であり、骨の形成と強度に不可欠な栄養素です。
人体のカルシウムのほとんどは骨や歯に含まれており、その他、筋肉や神経、血液などに少量ですが存在しています。

成長期には、骨量が急激に増加します。
特に思春期には、女性は18歳頃、男性は20歳頃に最大骨量に達するといわれています。この時期に十分なカルシウム摂取ができないと、最大骨量が低くなり、将来の骨粗鬆症リスクが高まる可能性があります。

 

骨は常に新陳代謝を行っており、古い骨を壊して新しい骨を作り続けています。この過程を通じて、骨は成長し、強度を維持しています。十分なカルシウム摂取は、この骨の新陳代謝を正常に保つために重要です。

 

牛乳に含まれる栄養素

牛乳は、カルシウムの優れた供給源として知られています。
200mlの牛乳には約220mgのカルシウムが含まれており、これは日本人の1日のカルシウム推奨量の約3分の1に相当します。さらに、牛乳には骨の成長に必要な他の栄養素も豊富に含まれています。

 

  • たんぱく質:骨の構造を形成する重要な要素
  • ビタミンD:カルシウムの吸収を促進
  • リン:カルシウムとともに骨の主要構成成分
  • マグネシウム:骨の形成に関与

 

これらの栄養素がバランスよく含まれていることが、牛乳を骨の成長に適した飲み物としている理由の一つです。特に、牛乳に含まれるカルシウムは吸収率が高いことが知られています。

 

成長期における牛乳摂取の重要性

 

成長期の子どもたちにとって、適切な量の牛乳摂取は非常に重要です。
日本人の食事摂取基準(2025年版)によると、12〜14歳の男子は1日あたり1000mg、女子は800mgのカルシウム摂取が推奨されています。

 

しかし、実際の摂取量は推奨量を下回っていることが多く、特に成長期の子どもたちのカルシウム不足が懸念されています。牛乳は手軽にカルシウムを摂取できる食品であり、毎日の習慣的な摂取が推奨されます。

ただし、牛乳の摂取だけで身長が伸びるわけではありません。バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠など、総合的な健康管理が身長の成長には重要です。また、個人の遺伝的要因も大きく影響します。

 

牛乳摂取と身長の関係については、さまざまな研究が行われていますが、明確な因果関係は示されていません。しかし、成長期における適切な栄養摂取の一環として、牛乳は重要な役割を果たすといえるでしょう。

 

カルシウムの適切な摂取量

牛乳は成長期の子どもたちにとって重要な栄養源です。
身長の伸びと牛乳摂取の関係について、詳しく見ていきましょう。

 

年齢別のカルシウム推奨摂取量

成長期の子どもたちにとって、牛乳は貴重なカルシウム源です。年齢によって必要なカルシウム量が異なるため、適切な摂取量も変わってきます。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、1日のカルシウム推奨量は以下のとおりです。

日本人の食事摂取基準(2025年版)

個人の体格や活動量、他の食品からのカルシウム摂取量によって適切な摂取量は変わってくる可能性があります。栄養バランスの取れた食事を心がけ、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。

 

牛乳のカルシウム吸収率

 

牛乳は、カルシウムを多く含むだけでなく、その吸収率も高いことが知られています。カルシウムの吸収メカニズムや他の食品との比較を見ていきましょう。

 

牛乳のカルシウム吸収メカニズム

牛乳に含まれるカルシウムが効率よく吸収される理由は、いくつかの要因があります。
まず、牛乳のたんぱく質から生成されるカゼインホスホペプチド(CPP)という物質が重要な役割を果たしています。

CPPは小腸下部でカルシウムの不溶化を防ぎ、吸収を促進するといわれています。
また、牛乳に含まれる乳糖もカルシウムの吸収を助けると考えられています。乳糖は小腸の腸壁のカルシウム透過性を高める効果があるとされています。

 

他の食品とのカルシウム吸収率比較

牛乳のカルシウム吸収率は、他の食品と比較しても高いことが分かっています。
具体的には、牛乳のカルシウム吸収率は約40%と言われており、これは小魚の33%、野菜の19%を上回っています。例えば、1食分のカルシウム含有量と吸収率を掛け合わせると、以下のような結果になります。

 

  • 牛乳(200mL):91mg
  • いわし(60g):14mg
  • こまつな(80g):26mg

 

このように、牛乳は単にカルシウム含有量が多いだけでなく、吸収効率も高いため、効果的なカルシウム補給源となっています。
特に、成長期の子どもや骨粗しょう症が気になる中高年の方にとって、牛乳は重要な栄養源といえるでしょう。

 

カルシウム吸収を高める組み合わせ

牛乳のカルシウム吸収率を更に高めるには、他の食品との組み合わせが効果的です。特に、ビタミンDを含む食品との相性が良いとされています。ビタミンDはカルシウムの吸収を促進する働きがあるからです。例えば、以下のような組み合わせがおすすめです。

 

  • 牛乳 + サケやサバなどの魚類(ビタミンD豊富)
  • ヨーグルト + キノコ類(ビタミンD含有)
  • チーズ + 卵(ビタミンD含有)

 

また、適度な運動もカルシウムの吸収を促進することが知られています。
牛乳を飲んだ後に軽い散歩やストレッチをすることで、より効果的にカルシウムを体内に取り込むことができるでしょう。
日々の生活に、牛乳とこれらの組み合わせを取り入れることで、カルシウム不足の改善や骨の健康維持につながる可能性があります。

 

 

牛乳以外のカルシウム源と身長への影響

 

牛乳は優れたカルシウム源ですが、他にも多様なカルシウム源があります。
それぞれの特徴を知り、バランス良く摂取することが大切です。

 

乳製品の種類と特徴

牛乳以外の乳製品も、カルシウムの優れた供給源です。
ヨーグルトやチーズなどの発酵乳製品は、乳酸菌の働きによってカルシウムの吸収率が高まるという利点があります。

 

例えば、プレーンヨーグルト100gには約120mgのカルシウムが含まれており、牛乳とほぼ同等のカルシウム量を摂取できます。さらに、ヨーグルトに含まれる乳酸菌は腸内環境を整え、カルシウムの吸収を促進する効果があるとされています。

チーズは濃縮された乳製品であるため、カルシウム含有量が非常に高くなっています。プロセスチーズ100gには約630mgものカルシウムが含まれており、少量で効率的にカルシウムを摂取できます。

 

 乳製品  カルシウム含有量(100gあたり)
 牛乳  110mg
 プレーンヨーグルト  120mg
 プロセスチーズ  630mg

 

これらの乳製品を日々の食事に取り入れることで、カルシウム摂取量を増やし、骨の健康維持や成長期の身長増加をサポートすることができます。ただし、乳糖不耐症の方や乳アレルギーの方は、医師や栄養士に相談の上、適切な代替品を選ぶことが大切です。

 

植物性カルシウム源の活用

植物性食品にも豊富なカルシウムが含まれています。特に、緑黄色野菜や豆類、海藻類は優れた植物性カルシウム源として知られています。これらの食品を積極的に摂取することで、カルシウム不足を予防し、身長の成長をサポートすることができます。

 

例えば、小松菜100gには約170mgのカルシウムが含まれており、牛乳の約1.5倍のカルシウム量を誇ります。ほうれん草や春菊などの緑黄色野菜も、カルシウムを多く含んでいます。

大豆製品も優れたカルシウム源です。木綿豆腐100gには約120mgのカルシウムが含まれており、牛乳に匹敵するカルシウム量を摂取できます。さらに、豆乳や納豆なども豊富なカルシウムを含んでいます。

 

 乳製品  カルシウム含有量(100gあたり)
 小松菜  170mg
 木綿豆腐  120mg
 ひじき(乾燥)  1,400mg

 

海藻類も優れたカルシウム源です。特に、ひじきは乾燥重量100gあたり約1,400mgものカルシウムを含んでおり、非常に高濃度のカルシウムを摂取できます。ただし、海藻類にはヒ素などの重金属が含まれる可能性があるため、摂取量には注意が必要です。

 

バランスの取れた食事の重要性

 

カルシウムを効率的に摂取し、身長の成長を促すためには、バランスの取れた食事が不可欠です。カルシウムだけでなく、ビタミンDやマグネシウム、たんぱく質なども骨の形成に重要な役割を果たします。

 

ビタミンDは、カルシウムの吸収を促進する重要な栄養素です。魚類(特に青魚)や卵黄に多く含まれており、これらの食品を積極的に摂取することで、カルシウムの吸収率を高めることができます。また、適度な日光浴もビタミンDの合成を促進します。

マグネシウムは、カルシウムとともに骨の形成に必要な栄養素です。ナッツ類や緑黄色野菜、全粒穀物に多く含まれています。たんぱく質も骨の形成に不可欠であり、肉類、魚類、大豆製品などから十分に摂取することが大切です。

 

  • 乳製品:牛乳、ヨーグルト、チーズなど
  • 緑黄色野菜:小松菜、ほうれん草、春菊など
  • 豆類:大豆製品(豆腐、納豆、豆乳など)
  • 魚類:イワシ、サバ、サケなど(骨ごと食べられる小魚も良い)
  • 海藻類:ひじき、わかめ、のりなど

 

これらの食品をバランス良く組み合わせて摂取することで、カルシウムの吸収率を高め、健康的な骨の成長と身長の増加をサポートすることができます。ただし、個人の体質や健康状態によって適切な摂取量は異なるため、必要に応じて栄養士や医師に相談することをおすすめします。

 

まとめ

牛乳は身長の成長をサポートする優れたカルシウム源です。
カルシウムは骨の形成に不可欠で、特に成長期の摂取が重要です。ただし、牛乳だけでなく、乳製品や植物性食品などからもバランス良くカルシウムを摂ることが大切です。適度な運動やビタミンDの摂取もカルシウムの吸収を促進します。
身長を伸ばすには、バランスの取れた食事と健康的な生活習慣が重要であり、牛乳はその一助となる可能性があります。

 

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