最近、身長が縮んだと感じたり、軽い衝撃で骨折した経験はありませんか?
骨粗鬆症は「沈黙の病」とも呼ばれ、初期段階では自覚症状がほとんどないため、知らないうちに進行することが多い病気です。
本記事では、骨粗鬆症の症状や進行度合いに応じた対策を詳しく解説し、早期発見と適切な対応の重要性を伝えます。

この記事の監修者:松繁 治 先生(整形外科医)
経歴:
岡山大学医学部卒業。現在、新東京病院に勤務し、整形外科および脊椎外科を専門としています。著書に「ガイドワイヤーを用いない経皮的椎弓根スクリュー(PPS)刺入法とその長期成績」があります。
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資格:
・日本整形外科学会専門医
・日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医
・日本脊椎脊髄病学会認定 脊椎脊髄外科指導医
・日本整形外科学会認定 脊椎内視鏡下手術・技術認定医
骨粗鬆症とは何か
骨粗鬆症とは、骨密度が低下し、骨が脆くなる病気のことを指します。
骨の強度が低下すると、わずかな衝撃でも骨折するリスクが高まります。特に高齢者や閉経後の女性に多く見られます。
骨密度の低下による骨の脆弱化
骨は常に新陳代謝を繰り返しており、古い骨が壊され、新しい骨が作られることで健康な状態を保っています。しかし、加齢や生活習慣の影響で骨の生成が追いつかなくなると、骨密度が低下し、骨が脆くなります。
骨粗鬆症の主な原因
骨粗鬆症の原因には、以下のようなものがあります。
- 加齢:
年齢とともに骨の新陳代謝が低下し、骨密度が減少。 - ホルモンバランスの変化:
特に閉経後の女性はエストロゲンの減少により骨密度が低下。 - 栄養不足:
カルシウムやビタミンDの不足は骨の健康に悪影響を与える。 - 運動不足:
骨に適度な刺激を与えないと、骨密度が低下しやすい。 - 生活習慣:
喫煙や過度な飲酒も骨密度低下の一因となる。
骨粗鬆症の初期症状
骨粗鬆症は初期段階ではほとんど自覚症状がありません。
しかし、次のような変化が見られることがあります。
- 背中や腰の鈍い痛み:
特に長時間座っていると痛みを感じることがある。 - 身長の減少:
加齢による自然な変化と思われがちだが、骨密度の低下が原因である場合も。 - 姿勢の変化:
猫背気味になったり、背中が曲がってきたりする。
進行した骨粗鬆症の症状
骨粗鬆症が進行すると、次のような深刻な症状が現れることがあります。
- 軽微な外力での骨折(脆弱性骨折):
転倒やわずかな衝撃で骨折することが多い。 - 背骨の圧迫骨折による姿勢の変化や身長の低下:
背中が曲がり、身長が著しく縮むこともある。 - 慢性的な腰痛や背部痛:
骨折が原因で持続的な痛みを感じることが増える。
症状を感じたときに取るべき行動
骨粗鬆症の疑いがある場合、早めの対応が重要です。
早期に医療機関を受診し、骨密度検査を受ける
骨密度検査(DXA検査)を受けることで、骨粗鬆症の進行度を確認できます。
特に更年期を迎えた女性や高齢者は定期的な検査を推奨します。
また、身長の低下や姿勢の変化がみられる場合、骨折や骨の変形の有無を確認するためにX線(レントゲン)検査を併せて行うことも有効です。
栄養摂取の見直し
- カルシウム:
牛乳、ヨーグルト、小魚、大豆製品などから摂取。 - ビタミンD:
日光浴や、魚類、きのこ類などの食品から補う。 - タンパク質:
骨の健康を支えるために肉や魚、大豆製品を意識的に摂る。
適度な運動を取り入れる
ウォーキングやスクワット、軽い筋トレを行うことで、骨に適度な刺激を与え、骨密度を維持・向上させることができます。
医師の指導のもと、適切な薬物療法を開始する
骨粗鬆症の進行度に応じて、医師の指導のもと薬物療法(ビスフォスフォネート製剤、ホルモン療法など)を開始することが推奨されます。
骨粗鬆症の予防策
骨粗鬆症は予防が可能な病気です。適切な生活習慣を取り入れることで、骨密度を維持し、将来的なリスクを減らすことができます。
カルシウムやビタミンDを意識的に摂取し、バランスの良い食事と栄養摂取を心がけることが予防の第一歩です。
また、定期的な運動習慣も予防に繋がります。
ウォーキングやストレッチ、筋力トレーニングを継続的に行い、骨に負荷をかけることで骨密度を維持します。
他にも、タバコやアルコールは骨密度を低下させるため、控えることが重要です。
まとめ
骨粗鬆症は自覚症状が乏しいため、早期発見と予防が極めて重要です。
定期的な検診や生活習慣の見直しにより、健康な骨を維持し、骨折のリスクを軽減することが可能です。骨の健康を守るために、今日からできる対策を始めましょう!

監修者:松繁 治 先生からのコメント
みなさんもご存知の通り、食事や運動、睡眠は骨密度に限らず、いろいろな病気に関係していますよね。改めて自分の生活を見直してみましょう。また年をとるにつれて骨密度は下がっていくものですが、特に骨密度が下がりやすい方の特徴として、やせているというポイントがあります。年をとると運動も減ってきて、食欲もなくなってくることが多いと思いますが、食事はしっかりとるようにしましょう。栄養を考えることも大切ですが、食事をしっかりとるだけでも、骨密度を保ち、健康を維持することにつながります。