近年、高齢者や特定の健康状態にある人々の間で「いつのまにか骨折」が増加しています。
この骨折は、自覚症状がないまま進行し、気づいた時には深刻な状況になっていることが多いです。
この記事では、いつのまにか骨折の定義、その原因、リスク、そして防ぐための対策について詳しく解説していきます。

この記事の監修者:大井 美恵子(小児科・内科・皮膚科・アレルギー科)
経歴:
金沢医科大学卒業後、広島市立広島市民病院小児科医として経験を積み、2016年に姉と共に「女医によるファミリークリニック」を広島市で開業。小児科・内科・皮膚科・アレルギー科を診療し、家族全員の健康を支えるホームドクターを目指しています 。
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■所属学会・資格
難病指定医
キレーション認定医
小児慢性特定疾患指定医
子どもの心相談医
高濃度ビタミンC点滴療法認定医新生児蘇生法専門コース認定医
日本小児科学会
日本周産期新生児医学会
日本小児神経学会
日本リウマチ学会
抗加齢医学会
高濃度ビタミンC点滴療法学会
日本アレルギー学会
日本小児皮膚科学会
日本小児科医会
広島県小児科医会
赤ちゃん成育ネットワーク
点滴療法研究会
■メディア露出実績
TV広島テレビ
TSSテレビ新広島
広島ホームテレビ
テレビ朝日(羽鳥慎一のモーニングショー)
フジテレビ(Live News イット!)
いつのまにか骨折とは?
「いつのまにか骨折」とは、特に高齢者に多く見られる状態で、何の前触れもなく骨折が発生することを指します。
一般的な骨折は、事故や転倒によって発生しますが、いつのまにか骨折は自覚症状がないまま進行し、ある日突然骨折を認識することになります。
骨折は、体にかかる力が骨の強度を超えたときに発生しますが、加齢や骨密度の低下により、特に脊椎や手首、股関節などの部位で「いつのまにか骨折」が起こることがあります。
これにより、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあるため、特に注意が必要です。
この骨折は、例えば軽い動作をしたときに起こることが多く、全く意識していない時に突然の痛みを感じることが特徴です。
例えば、いつも通りに座ったり、立ち上がったりする際に、背中や腰に激しい痛みを覚えることがあります。医療機関での診断を受けると、骨折が確認されることが多いのです。
いつのまにか骨折の原因
骨密度の低下
骨密度は、骨がどれだけ強いかを示す重要な指標です。
年齢とともに骨密度は自然に低下しますが、特に女性は閉経後に急激に低下することが多いです。
骨粗鬆症と呼ばれるこの状態は、骨がもろくなり、骨折のリスクを大幅に増加させます。
骨密度の低下は、カルシウムやビタミンDの不足、ホルモンの変化、運動不足などが原因となります。骨粗鬆症は無症状で進行することが多いため、特に注意が必要です。
定期的な骨密度検査を受けることで、早期発見が可能になります。
知らず知らずのうちに行う危険な行動
日常生活の中で、転倒や衝突などの危険な行動が多くあります。
特に高齢者は、バランス感覚が低下しているため、知らず知らずのうちに転倒して骨折することがあります。外出時に注意を払うだけでなく、家庭内でも注意が必要です。
例えば、家具の配置や床の滑りやすさ、照明の明るさなど、生活環境の整備が重要です。
家庭内での転倒リスクを軽減するために、手すりの設置や滑り止めのマットの使用を検討しましょう。
また、運動不足も要因の一つであり、体力を維持するためには定期的な運動が欠かせません。
健康状態や生活習慣
栄養状態も重要です。カルシウムやビタミンDが不足していると、骨密度が低下しやすくなります。
これらの栄養素は、骨を強く保つために不可欠です。
また、運動不足も骨折のリスクを高める要因です。定期的な運動が骨密度を高め、転倒リスクを軽減することが知られています。
高齢者は、身体機能の低下から運動を避けがちですが、軽い筋力トレーニングやストレッチ、ウォーキングを日常に取り入れることで、身体のバランスを維持することができます。
日常生活での小さな運動から始め、徐々に負荷を増やしていくと良いでしょう。
いつのまにか骨折のリスク
身体的リスク
いつのまにか骨折を経験すると、痛みや機能障害が生じます。
特に高齢者は、骨折後のリハビリや入院が必要になることが多く、これがさらなる健康問題を引き起こす可能性があります。
たとえば、股関節骨折は、歩行能力を低下させ、日常生活の質を著しく損なうことがあります。
骨折による身体的な障害は、治癒までの期間やその後のリハビリの程度に影響を与えることがあります。
骨折の種類によっては、手術が必要となる場合もあり、身体への負担は大きくなります。特に高齢者にとっては、体力が回復しづらいため、慎重な対応が求められます。
精神的リスク
骨折による身体的な問題は、精神的な影響も及ぼします。
自信の喪失や社会的孤立は、特に高齢者にとって深刻な問題です。痛みや動きにくさから外出を避けるようになり、孤立感が増すことがあります。
このような心理的な影響は、うつ病や不安障害を引き起こす原因となることもあります。
社会的なつながりが希薄になると、精神的な健康にも悪影響を及ぼします。周囲の人々とのコミュニケーションを大切にし、サポートを受けることが重要です。家族や友人と一緒に過ごす時間を増やし、精神的なサポートを求めることが大切です。
経済的リスク
医療費や介護費用の増加も無視できません。
いつのまにか骨折を経験すると、長期的な治療や介護が必要になる場合が多く、経済的な負担がかかります。
特に高齢者の場合、これが生活全般に影響を与えることがあるため、注意が必要です。
高齢者向けの医療保険や介護サービスを利用することも大切ですが、骨折を未然に防ぐための対策を講じることが最も重要です。健康な生活習慣を心がけることで、長期的に見ても経済的なリスクを減少させることができます。
いつのまにか骨折を防ぐための対策
栄養管理
骨を強くするためには、カルシウムやビタミンDが不可欠です。
カルシウムは乳製品や魚、緑色野菜に多く含まれており、ビタミンDは日光を浴びることで体内で合成されます。栄養バランスの取れた食事を心がけることで、骨密度を維持し、骨折リスクを減少させることができます。
また、サプリメントを使用することも一つの手です。しかし、栄養素の摂取はあくまでバランスを重視し、必要に応じて医師と相談しながら行うことが大切です。
運動習慣の確立
定期的な運動は骨密度を高め、筋力を維持する効果があります。
特に、負荷をかける運動(ウェイトトレーニングやジョギングなど)は骨密度を高めるのに効果的です。
さらに、バランスを保つための運動(ヨガや太極拳など)も推奨されます。
週に数回の軽い運動から始め、徐々に運動量を増やすことが推奨されます。友人や家族と一緒に運動することで、楽しみながら続けやすくなります。
生活環境の整備
自宅の安全性を高めるためには、家具の配置や照明を工夫することが大切です。
手すりを設置したり、滑り止めのマットを使用したりすることで、転倒リスクを減少させることができます。家庭内での事故を未然に防ぐために、生活環境を見直しましょう。
特に高齢者が多く暮らす家庭では、日常的に環境をチェックし、安全性を確認することが重要です。定期的な点検を行い、必要に応じて改善策を講じましょう。
まとめ
「いつのまにか骨折」は、高齢者や骨密度が低下している人々にとって、非常に重要な健康問題です。
この記事で紹介したように、骨折の原因やリスクを理解し、適切な対策を講じることで、リスクを減少させることが可能です。
食事や運動、生活環境の見直しを行い、健康な生活を送ることが重要です。特に高齢者は、周囲の人々と協力しながら、より安全な生活を実現するための努力が必要です。